こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。

 

行政書士通信講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。

「形式的当事者訴訟を例を交えて教えて頂けないでしょうか。」

 

そこで、今回は「形式的当事者訴訟」について解説していきます。

 

行政事件訴訟法4条によると、形式的当事者訴訟の定義は次のようになっています。

 

形式的当事者訴訟

=「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」

 

ポイントは「当事者の一方を被告とする」です。

そして、この形式的当事者訴訟の典型例が「収用裁決の損失補償の増額」です。

 

たとえば、A県B市に住むXさんに、B市から「道路の拡張工事でXさんの甲土地が必要になったので、B市に売ってもらえないでしょうか」と連絡がありました。

 

Xさんは、甲土地を売るのは構わなかったけれど、B市が提示した買収価格が1,000万円とXさんが思っていたより低い価格だったので、「その価格じゃあ売れない」と断りました。(Xさんは、2,000万円なら売るつもりでした)

 

買収を断られたB市は、A県収用委員会に申請して、土地収用法に基づく収用裁決をしてもらいました。

収用裁決をすることで、B市は甲土地を取得できますが、A県収用委員会は、甲土地の補償金額を1,500万円としました。

 

Xさんは、甲土地を売るのは構いませんが、A県収用委員会が収用裁決で出した補償金額もXさんの希望する価格(2,000万円)にはあと500万円足りないので、納得できません。

 

このときに、Xさんが補償金額の増額を目的に裁判するなら、ふつうはXさんとA県収用委員会で裁判をすることになります。

(Xさんは、A県収用委員会が裁決で決めた補償金額を増額してほしいため)

 

でも、土地収用法では「A県収用委員会が裁決で決めた補償金額を増額するために裁判するなら、A県収用委員会じゃなくて起業者(今回はB市)を被告にしてね」というルールになっています。

 

なぜなら、確かに補償金額を決めたのはA県収用委員会ですが、実際に補償金を払うのはB市なので、あとは補償金を払う人ともらう人で裁判して解決してくださいね、という話です。

 

つまり、収用裁決の補償額の増額については、処分(裁決)をしたA県収用委員会ではなく、補償金を実際に払うB市と補償金をもらうXさんの間で裁判をするという形式に法律(土地収用法)で決まっているので、この裁判のことを「形式的当事者訴訟」といいます。

 

本試験では、2012年(平成24年)の問題44(記述式)で出題されていますので、この問題の内容をしっかりおさえることがおすすめです。

 

今回は、「形式的当事者訴訟」についてお話をさせていただきました。

いつも本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

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