こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。
行政書士通信講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。
「令和元年度(2019年)の過去問、問17の選択肢4についてお聞きしたいです。問題文に「本案について理由があるとみえる場合でなければ、することができない。」とありますが、確かに条文では「本案について理由がないとみえるときは、することができない。」です。しかし、問題文を反対解釈すれば正解ともとれる内容に思えるのですが、どんなものでしょうか?」
そこで、今回は「「本案について理由がない」と「本案について理由がある」の違い」について解説していきます。
「本案について理由がない」は、その後の表現を加えると「本案について理由がないとみえるときは、することができない」となります。
一方、「本案について理由がある」は、「本案について理由があるとみえるときは、することができる」となります。
2つの表現の違いを整理するには、最後の「することができない/できる」部分も含めて整理するとわかりやすくなります。
「本案について理由がないとみえるときは、することができない」と「本案について理由があるとみえるときは、することができる」の違いは、次の通りです。
「本案について理由がないとみえるときは、することができない」
⇒ 言い換えると、「理由がない場合にだけできない」ということになるので、本案について理由があるかどうか判断できない場合は、することができます。
・理由がない(することができない)
・理由がある(することができる)
・理由があるかどうか判断できない(することができる) ←ここが下と違う
「本案について理由があるとみえるときは、することができる」
⇒ 言い換えると、「理由がある場合にだけできる」ということになるので、本案について理由があるかどうか判断できない場合は、することができません。
・理由がない(することができない)
・理由がある(することができる)
・理由があるかどうか判断できない(することができない) ←ここが上と違う
なお、行政事件訴訟法で「本案について理由がないとみえるときは、することができない」と「本案について理由があるとみえるときは、することができる」が使われている条文は、次の通りです。
「本案について理由がないとみえるときは、することができない」
⇒ 執行停止(行政事件訴訟法25条4項)
【参考】行政事件訴訟法25条4項
4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
「本案について理由があるとみえるときは、することができる」
⇒ 仮の義務付け、仮の差止め(行政事件訴訟法37条の5第1項・2項)
【参考】行政事件訴訟法37条の5第1項・2項
義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
今回は、「本案について理由がない」と「本案について理由がある」の違いについてお話をさせていただきました。
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