こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。
行政書士通信講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。
「平成30年度の問題14、選択肢2が、なぜ『妥当でない』になるのかが、わかりませんでした。」
そこで、今回は「平成30年度の問題14、選択肢2が「妥当でない」理由」について解説していきます。
まず、平成30年度の問題14、選択肢2を整理すると「法令に違反する事実があって、その違反を正すためにするべき処分がされていない場合にも、不作為についての審査請求ができる」という内容です。
たとえば、建築基準法に違反している違法建築物がある(法令に違反する事実がある)けど、行政がその建物を撤去する命令(その違反を正すための処分)がされていない場合に、違法建築物の近くに住んでいるAさんは、行政に対して、不作為についての審査請求ができるのか、という話です。
結論は「妥当でない」なので、この場合、Aさんは、不作為についての審査請求はできません。
それでは、なぜ、Aさんは、不作為についての審査請求ができないかというと、その答えは、行政不服審査法3条にあります。
【参考】行政不服審査法3条
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
行政不服審査法3条を見ると、主語は「申請をした者」となっているので、不作為についての審査請求をすることができるのは、「申請者本人」ということになります。
では、上の例で、Aさんは何か申請をしていたかというと、何も申請をしていません。
なので、Aさんは、不作為についての審査請求をすることはできない、ということになります。
同じく行政不服審査法3条を見ると、「行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)」とあるので、行政不服審査法の不作為は「申請に対する不作為」ということです。
なので、不作為についての審査請求は、不作為があれば何でも審査請求できるのではなく、「申請したけど返事が来ない(申請に対する不作為)」という場合にだけ、することができることになります。
これらを踏まえて、平成30年度の問題14、選択肢2の選択肢を見ると、選択肢には「申請」ということが一切書かれていないので、この不作為は「申請に対する不作為」に該当せず、不作為についての審査請求はできないため「妥当でない」、と判断できます。
今回は、平成30年度の問題14、選択肢2が「妥当でない」理由についてお話をさせていただきました。
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