こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。

 

行政書士通学講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。

「「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」は、どう使い分けているのでしょうか?」

 

そこで、今回は「直ちに・速やかに・遅滞なくの使い分け」について解説していきます。

 

「直ちに・速やかに・遅滞なく」は、どれも「すぐに」という意味の法律用語ですが、どのくらいすぐなのか、早さが違ってきます。

 

「直ちに」は、どんな理由があってもすぐに、という意味になります。

「速やかに」は、直ちに・遅滞なくの中間というイメージです。

「遅滞なく」は、理由があったら遅れてもいいけれど、なるべくすぐに、という意味になります。

 

より早いものから順番に並べると「直ちに > 速やかに > 遅滞なく」となります。

 

直ちにが、行政不服審査法29条1項に、速やかに・遅滞なくが、行政手続法7条に使われているので、これらの条文を参考にして、直ちに・速やかに・遅滞なくの使い分けを見ていきます。

 

行政不服審査法29条1項

審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。

 

行政手続法7条

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

 

行政不服審査法29条1項は、審理員が指名された後の手続についての条文ですが、「指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない」と、「直ちに」が使われています。

 

行政手続法7条は、申請の審査と応答についての条文ですが、「到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず」「形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない」と、「速やかに」「遅滞なく」の両方が使われています。

 

まずは「直ちに」について見ていきます。

「指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない」ので、審理員は、指名されたら、どんな理由があってもすぐに、審査請求書や審査請求録取書のコピーを処分庁等に送付する義務があります。

 

次に「速やかに」「遅滞なく」について見ていきます。

「形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない」ので、不備のある申請については、直ちにほど急ぐ必要はないけれど、なるべくすぐに、補正を求めるか許認可等を拒否する義務があります。

「到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず」なので、理由があったら遅れてもいいけれど、なるべくすぐに審査を開始する義務があります。

 

このように、どんな理由があってもすぐにという場合は「直ちに」を、直ちにほど急ぐ必要はない場合は「速やかに」を、理由があったら遅れてもいい場合は「遅滞なく」を使って、使い分けています。

 

行政書士試験で出題される条文でよく使われているのは「速やかに」と「遅滞なく」で、「直ちに」はたまにしか使われません。

 

それでは、ひとつ問題を出します。

 

次の空欄【  】には、「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」のどれが入るでしょうか。

2つの空欄には、それぞれ違う言葉が入ります。

 

行政不服審査法57条

処分庁は、再調査の請求がされた日(第61条において読み替えて準用する第23条の規定により不備を補正すべきことを命じた場合にあっては、当該不備が補正された日)の翌日から起算して3月を経過しても当該再調査の請求が係属しているときは、【  】、当該処分について【  】審査請求をすることができる旨を書面でその再調査の請求人に教示しなければならない。

 

正解は、行政不服審査法57条の条文をご確認ください。

 

今回は、直ちに・速やかに・遅滞なくの使い分けについてお話をさせていただきました。

いつも本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

ステップアップファーストは、行政書士試験に合格するために、受講者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの試験対策を行う「個別指導」にこだわった行政書士試験対策専門スクールとして、10年間で多数の合格者を送り出してきました。

 

ステップアップファーストの行政書士試験対策講座はすべて個別指導です。

通学講座はもちろん、通信講座でも個別に指導を受けられます。

通学講座は、山梨県外からの受講も大歓迎です。通信講座は全国対応しています。

≫「行政書士試験に合格するために何をどう勉強すればいいのか迷っている」という方へ。行政書士通学講座(個別指導)のご案内