こんにちは。行政書士試験対策専門スクール ステップアップファースト 代表の清水一嵩です。

 

行政書士通信講座(個別指導)の受講者から、次のような質問をいただきました。

「公定力、既判力、拘束力の具体例をそれぞれ教えていただけないでしょうか。」

 

そこで、今回は「公定力、既判力、拘束力の具体例」について解説していきます。

 

まず「公定力」ですが、これは「無効でなければ、違法な行政行為でも、取り消されるまでは有効になる」力のことです。

 

たとえば、Aさんの車は、いつもなら自動車税は5万円でしたが、今年は「自動車税は10万円」という通知が届きました。

自動車税が増税された可能性もありますが、実際には、今年も自動車税は5万円だけど、行政側のミスで、10万円という通知になっていました。(違法な行政行為)

 

このとき、Aさんは10万円の通知を無視して自動車税を払わなくてもいいのか、という話です。

行政行為には公定力があるので、ひょっとしたらこの10万円という通知は違法な行政行為なのかもしれないけど、とりあえずは有効になります。(もちろん、行政に連絡して取り消してもらえば払う必要はなくなります)

もし、この通知が、10万円じゃなくて100万円だとしたら、明らかにおかしい(重大かつ明白な瑕疵がある)行政行為だから無効になるので、無視してもOKです。

 

このように、違法な行政行為でも、取り消されるまでは一応有効になる、という力のことを公定力といいます。

 

次に「既判力」ですが、これは「一度裁判で白黒はっきりついたら、同じことを蒸し返すのは禁止」という力のことです。

 

たとえば、ラーメン屋を経営しているBさんが、食中毒を出したとして保健所から1年間の営業停止処分を受けました。

Bさんは、1年間の営業停止は重すぎる処分と考えて、処分の取消しを求めて取消訴訟をしました。

でも、裁判所の判決は「1年間の営業停止処分は妥当」という結論でした。

そしたら、この判決には既判力があるので、Bさんはどんなに納得できなくても、もう一度裁判をはじめからやり直すことはできません。

 

このように、裁判のやり直しを防ぐ力のことを既判力といいます。

 

最後に「拘束力」ですが、これは「判決の内容に従わせる」力のことです。

既判力のところで例にあげた取消訴訟で、裁判所がBさんの主張を認めて、1年間の営業停止処分を取り消したとします。

そうすると、保健所は改めてBさんに処分をすることになりますが、取消訴訟で「1年間の営業停止処分はダメ」という判決が出ていて、判決には拘束力があるため、同じ処分はできなくなります。

 

このように、判決の内容に行政を従わせる力のことを、拘束力といいます。

 

今回は、公定力、既判力、拘束力の具体例についてお話をさせていただきました。

いつも本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

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